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百貨店と駅ナカと東京ミッドタウン


大丸と松坂屋が今秋経営統合し、伊勢丹と東急百貨店は包括提携
百貨店再編劇の幕が切って落とされた。
売上高営業利益率で07年度では高島屋が2.4%、三越が1.7%であるのに対し、大丸は4.4%、伊勢丹が4.8%と、大きく引き離している。」
(Source:週刊ダイヤモンド 2007/5/26)

自動車、鉄鋼、金融、ハイテク、製薬、家電量販店等の業界では既に業界再編が起きていますが、百貨店では今まで大きな再編はありませんでした。
M&Aによる最大の効果は規模の利益を享受することですが、百貨店は他の業界と違って規模の利益が出しにくいとされています。
百貨店は場所貸しで利益を得るビジネスモデルで、規模を拡大による調達メリットを得る事ができないからです。
ところが今年に入って勝ち組の大丸と伊勢丹が仕掛けた再編劇。
大丸と松坂屋の統合によるメリットの一つは商圏の補完関係にあります。
今回の合併は事実上、大丸が松坂屋を飲み込んだ形ですが、大丸にとって名古屋地域と銀座という超優良地をカバーする事ができるのです。

そういえば阪急と阪神の経営統合もありましたね。
持ち株会社は「エイチ・ツー・オー」、今期の決算では売上高が前期比52・9%増の7433億円、純利益は44・6%増の366億円、一定の統合効果はあったようです。

阪急と阪神の経営統合は村上ファンドきっかけで阪神から持ちかけた合併で他とは毛色が違いますが、百貨店の業界再編は他業種との競合が背景としてあります。

JR東日本は小売業として既に高島屋を凌ぐ売上高で新宿ルミネの復活劇から新たな攻めの展開に移っています。
品川の「(ecute)エキュート」
はオープンして間もなく私も行きましたが、トイレがとても綺麗で雰囲気はデパ地下のようでした。


そして最大のライバルは東京ミッドタウン新丸ビルなどの大規模商業施設。
2007年のGWは東京ミッドタウンが150万人の集客新丸ビルは122万人の集客でした。

東京ミッドタウンはオープンした日から観光スポットとなり、各メディアもこぞってミッドタウン特集を組みました。東京に観光に来た人は東京ディズニーリゾートや東京タワーに行くのと同じ感覚でミッドタウンを訪れます。ミッドタウンは平日でも観光客らしき人たちを見かけます。

百貨店との最大の違いは「東京ミッドタウンに行くこと」自体が目的となり、「買い物に行く」ことを目的とした百貨店の客層よりも幅広いセグメントをカバーできることになります。また、リッツカールトンが「東京ミッドタウン」のブランドイメージを形成してアッパー層もカバーしています。
百貨店は大規模商業施設もテナントを集めて商売するという点で同じですが、ブランド戦略、顧客セグメントの多様性の点では大規模商業施設に優位性があります。

# by beyondpark | 2007-05-25 01:02  

レアメタル

日経新聞:2007/05/22
「製造業、省資源で世界に先行・金属高騰で生産改革」
-トヨタ自動車は新型車の銅使用量を1割削減、JFEスチールなどはニッケルを使わないステンレス鋼を増産する。-
今朝の一面です。

レアメタル(希少金属)と呼ばれている元素は31種類あって、家電、自動車、ハイテク分野で欠かせない材料です。
トヨタをはじめとする日本の製造業にとっては欠かせない原材料となっています。
ちなみにゲルマニウム温浴のゲルマニウム(Ge)もレアメタルです。

そのため、経済産業省では特に重要な7鉱種について、国家備蓄を進めています。
-現在国家備蓄しているレアメタル-
V:バナジウム
Cr:クロム
Mn:マンガン
Cb:コバルト
Ni:ニッケル
Mo:モリブデン
W:タングステン

ここのところ中国でレアメタルの需要が急増しているため、世界的な供給余力が減少する可能性が出てきており、そんな中国は一方で
「中国、鋼材の輸出抑制へ関税・米中対話にらむ(日経新聞:5月21日)」
ということで、貿易黒字の拡大を抑える姿勢として実施に至ったようです。

貿易黒字の拡大を抑えるというのは対外的な理由としてもちろんありますが、関税による税収増も相当見込めるんでしょうね。
一方でガソリンの輸入関税は引き下げています。
どちらも6月1日から実施とのことです。

日本は昔から原材料は輸入に頼ってきたのでこれまでも原材料の安定確保は課題だったのですが、
企業の自らの努力で「リスクの高い原材料はなるべく使わない」という判断をしています。

もうひとつの方法としては、ゼロエミッション。
これは採算が取れるかどうかが難しい取り組みですが、企業のイメージアップにもなります。
環境会計の側面から見てもグローバル企業の多くはゼロエミッションに取り組んでいます。
レアメタルという観点では、ゼロエミッションの取り組みとして自社の製品を回収し、
そこからレアメタルを抽出して再利用する施策が挙げられます。
キヤノン、リコー、富士ゼロックスなど事務機メーカーなどの取り組みが比較的進んでいるようです。
企業向けのサービス拠点を備え、消耗品を回収・補充するビジネスモデルがこういった取り組みにマッチするんでしょうね。


--参考までに

■生産量が特定の国に偏っているもの
中国が希土類元素(レアアース)で95%、タングステンで83%、アンチモンで82%
南アがプラチナで72%、クロムで50%
豪州がタンタルで67%、チタンで31%

■日本で備蓄対象としてる鉱物
供給リスクが相対的に低い:ニッケル、クロム、モリブデン、マンガン
供給リスクが相対的に高い:タングステン、コバルト、バナジウム

■日本で注視対象としている鉱物
パラジウム、プラチナ、ニオブ、アンチモン、ジルコニウム、希土類、ストロンチウム、タンタル、ガリウム

# by beyondpark | 2007-05-22 21:16  

ウィンブルドン現象

2000年の8月に1ポンド154円が今日時点で1ポンド238円とイギリスは今ノリノリです。地下鉄は昨年、初乗り運賃が3ポンドから4ポンドに値上げされたそうです。日本円だと952円!
イギリスの成長を支えているのは金融です。
シティ(ロンドン・シティ)は今や世界一の市場として全世界の総取引高の約3割を占めています。

1986年にサッチャー首相が行った証券市場改革「ビッグバン」の結果、イギリスの地場の伝統ある銀行が次々とアメリカやドイツの金融機関に買収されました。

「ウィンブルドン現象」は元々はテニスのウィンブルドン選手権が語源だそうですが、最近誌面でよくみかけるのは専らロンドン・シティのことなので、私はテニスのウィンブルドン選手権が語源であることを後から知りました。
ちなみにウィンブルドンはロンドンにあるそうです。

日本では外資に買収されることがネガティブに感じる人が多く、政財界でも三角合併の解禁に反対する人が多いようです。

米ファンドのリップルウッドが破綻した日本長期信用銀行を買収し、新生銀行として再生をとげました。最近では日興證券は米シティグループに買収されました。

かたや製造業に眼を向けるとトヨタを始めとして日本のリーディングカンパニーの製造業の企業は世界各国でグローバルビジネスを展開し、現地で工場を建て、雇用を生み、調達をしています。
三角合併の解禁に伴い今後はますますM&Aが増えることだと思いますが、日本が魅力的な市場を作っていかないといけないでしょう。おちおちしていられません。
(source:週刊ダイヤモンド 2007/5/19)

# by beyondpark | 2007-05-18 23:25